シズル感は売るな
2016.03.27 | マーケティングブログ
前回お話した期待値のマネジメントの補足を。
飲食だと「味を売るなシズル感を売れ」っていうのがあります。
シズル感っていうのは五感を刺激するような「おいしそうな感じ」のこと。
うなぎ屋から漂ってくる蒲焼の匂いとか、ステーキがジュージュー焼ける音とか、脂がたっぷり乗った大トロの見た目とか。
そういったものがシズル感です。
飲食店だとメニューなんかは特にシズル感が重要になります。
なぜかって?
お客さんが商品を選ぶ一番の接点になるから。
特にポイントになるのが見た目です。
つまりメニューの場合は写真です。
だから飲食店のメニューはお金をかけてシズル感のある写真を撮ります。
写真を売ってるといってもいいくらい。
でも注意しなくちゃいけないのが、前述の期待値のマネジメント。
やりすぎると逆効果になります。
つまり期待値の上げ過ぎです。
ここで僕が体験したあるステーキ屋のお話をします。
今から8年ほど前の話だけど未だに忘れません。
その日は見込客の訪問でした。
前職の同僚からの紹介でその同僚と一緒にお客さんを訪問しました。
車で待ち合わせして一緒にお客さんのところに行きました。
午後19時。
訪問も終わり車で家路に着いたときのことです。
この同僚はたまたま家が近所で帰る方向も一緒。
僕が家まで送っていく感じでした。
帰りの車内で
「腹減りましたね~」
と同僚。
「たしかに。お客さん紹介してくれたし飯ご馳走するよ。」
「え~、いいんすか~!実は最近できた●●ってステーキ屋があるんすけど行ったことあります?」
「何それ?知らない。」
「実はそのステーキ屋、、、」
どうやらそのステーキ屋はステーキを頼むとご飯が付いて、スープが付いて、サラダが付いて、デザートが付いて、パンも付いて、カレーも付いて、飲み物も付いてくるらしい。
今では巷にあふれてるあのステーキ提供システムのお店です。
その当時は走りでした。僕も知りませんでした。
「何それスゲーじゃん!行こうぜ!」
たまたま家の近所にその店があると同僚は言います。
そのステーキ屋に行ってみたんです。
中に入るとさっき聞いたご飯やらスープやらデザートやらのコーナーが店の中心を陣取っています。
席に着きます。席はビニールシートで普通のファミレスって感じです。居抜きでお店を出すことが多いから前のお店のまま使ってるみたいです。
メニューを見る。なかなか旨そう。
そこに目に留まった一つのメニューがありました。
厚切りステーキ。
写真を見ると厚さが2cmはありそう。
スタンダードなステーキの倍の厚さはありそうです。
ステーキは柔らかいとかよりも厚さのほうが重要な僕は
「俺、厚切りステーキね!」
と速攻で注文が決まりました。
同僚は
「じゃあ俺レモンステーキで!」
スタンダードステーキにレモンが乗ったヤツです。
店員を呼んで注文を済ませました。
ステーキが出てくる間にバイキング形式になっているサラダとか飲み物とかを取ってきます。
そしてステーキがやってきました。
まずは同僚のレモンステーキが到着。
ステーキに輪切りのレモンが1枚乗ってアツアツの鉄板の上でジュージュー音をたてています。
おぉ、レモンステーキもなかなか旨そうじゃないか!
厚切りステーキの期待が高まります。
ついに厚切りステーキがやってきた!
「ん!?、、、」
レモンステーキと同じように鉄板の上でジュージューいってる。
でもなんか違う。
何が違うんだろうか?
厚さが足りない。全く足りないんです。
レモンステーキよりも薄い、、、
でも奢ってる手前、カッコ悪い感じは見せたくない。
お店に文句を言いたい気持ちを抑えてそのまま、、、
それ以来その店には行ってません。
店には行かないけど会う人会う人には事あるごとに話しました。
「厚切りステーキがノーマルのレモンステーキより薄いってどういうことだよ!」
メニューの写真では分厚くて柔らかそうで脂ものっていてアツアツで、、、
散々期待させられました。
でも、それを超える結果を出せないとこういったことになります。
「シズル感を売れ」
これは大事です。
でも期待値以上のサービスが提供できないのであればやらないほうがいい。
特に高額商品、高付加価値商品はそれが大きくなります。
(スシローでやられても許せるがすきやばし次郎ではNG)
もう一度聞きます。
あなたは期待値をマネジメントできてますか?